解決つるべの底力

大晦日のNHK紅白歌合戦
物心がついたときから紅白を見なかった大晦日はないはずなのだけれども、そのなかで、一番おもしろい紅白だったんじゃないかと思う。個人的には。
ただそれは、
今回の紅白のテーマで、オープニングからずっとスマップ中居が連呼していたような「歌の力」によるものというよりは、
やっぱり「つるべの力」。
いや、歌は歌ですばらしかったのだけど。
ということで以下感想。


■オープニングはつるべのはげ頭から。ポルノグラフィティの連呼。そしていきなり「睾丸」発言。さすが。
■中居が「ポロリ」と書かれた扇子を広げてつるべに忠告。ポロリなんかするわけないんだけど、クールファイブの「宮本さん」(はげ)を股にはさんだり、和田アキ子が「最後まで変なことしたらあかんよ」と釘を刺したり、民放バラエティの文法をふまえたこの辺の「なんかわくわくする感じ」がお祭りっぽくて最高。
ハロプロはほんとに宝塚っぽくなってきた。
美川憲一のときにIKKOと真島茂樹が応援で登場。IKKO、「どんだけー」連発。やりすぎ。そんなIKKOに対して日本中のお茶の間が「どんだけー」と総出でツッこんだことは周知の事実。
中村美津子と北山たかしの後ろで、マッスルミュージカルが跳び箱とんだり逆立ちしたり。もう、「歌の力」をうやむやにする「ただの力」。
若槻千夏柳原可奈子が応援で登場。若槻、登場時の客の盛り上がりの小ささに「拍手がまばらっていうね」とツッコミ。大阪ではやしきたかじんが何度もネタにしてNHK(ひいては東京)をこき下ろしているように、紅白と言えばオープニングから「まき」が入ったり、ギャグにすら台本があったり、というようにガチガチにプログラムが組まれてる番組らしい。のだけれども、今年の紅白はどうやら細かい部分は司会陣に大幅に任されているようだということを、若槻の発言でうかがい知る。でも、柳原の曲紹介「どうぞ聞いちゃってくださーい」はがちがちだったけど。
■だけどほんと、今回の紅白は時間に余裕があるようだった。これまでは司会者が決まったセリフを読み終わると自動的に歌が始まる、というような感じだったのだけれども、今回は鶴瓶・中居がステージの方を確認しながらトークを延ばしている場面が目立った。両者のテレビ的なトーク力を活かす構成と演出。
前川清のバックコーラス、クール・ファイブにムーディー勝山加わる。中居がムーディーのものまね。「つーるーべーがーポーローリすーるー」。いいとも年末特大号のものまねネタそのまま。休憩時間的な催し「おしりかじり虫」を担当するタカアンドトシを紹介するときのアナウンサーの一言「おしりかじり虫にそっくりな人たちです」もそうなのだけれども。なんか、2004年のフジテレビの27時間テレビめちゃイケの回)以来の雰囲気。
■にしても、タカアンドトシはどこで何しても鉄板。この安定感は脅威。
関根勤ジェームス小野田さんは近所で犬の散歩をよくしてる」。もう、民放。
■今年の紅白の「なんで選ばれたのかよくわからない枠」(俗に言う「グループ魂枠」)はAKB48とリアディゾンと中川翔子だったわけだけれども、そうかなるほど「ネット=アキバくくり」だったのか。そのくくりの乱暴さはともかく、全員そろって「なんてったってアイドル」を歌ってるステージを見る審査員・新垣結衣の唖然顔。その画面は、マツケンサンバを見る日野原重明(お医者さん)以来の衝撃。もう、かわいくなかったし。
■「ポルノグラフティ」ではなく「ポルノグラフィティ」であることを強調する鶴瓶。ここに来て冒頭のポルノ連呼の意味がわかる。何このステキ構成。まさに「つるべの力」。そして、この話の途中に毎日放送の西アナウンサーの名前を出すとかいう、わくわく感。
■そして、寺尾聡のルビーの指輪。最高にかっこいい。あと、ドリカムもかっこよかった。
■例年通りの小林幸子。もう、小林幸子の衣装って、何年か前から色違いのような気がする。
小林幸子の歌が終わった後に、司会の2人が幸子に接近。衣装(大道具)の後ろを見ながら「おっちゃんが3人おったで」。
Gacktの番。大河ドラマ風林火山』に出ているガクトが上杉謙信に扮して歌を歌う、というかなり大がかかりな演出。「われに刃向かうは神に背く者。皆の者、いざ出陣じゃ!」。ガクトの大河出演って、それを知った人に一度は「え?」と言わせること必至のよくわからないキャスティングだった。が、やっとわかった。紅白のあのステージは、これは1年がかりのネタじこみだったんですよ、という種あかし。1年越しの大河コント。さすが。
中村中が紅組出場なものだから、はからずも注目を集めざるを得ない白組の槇原敬之平井堅平井堅の曲順が中村中の直後だったのはNHKスタッフの悪ふざけ(いい意味で)だけれども、槇原が歌う前に「そばで見たらかわいらしい顔してはりまっせ」と言ったつるべのそれもまた悪ふざけ(いい意味で)。そして、エンディングの蛍の光コブクロの小さい方と肩を組みながら歌う槇原、という画面にビール吹く。
■審査員の藤原紀香陣内智則がステージで司会とからみ。その紀香の姿は、体の線がくっきりと出るぴったり&キラキラな衣装。そして、カメラをじっと見つめてモデル立ち。紀香、ベストヒット歌謡祭モード。
aikoの番。そして歌が終わると鶴瓶とのからみ。小林幸子のときもそうだったけど、歌が終わった後の司会と歌手とのからみは新鮮。それは、鶴瓶・中居という「テレビの人」でなければできない芸当。俳優みたいな「映画の人」では無理。
■例の倖田來未。中居と倖田とのやりとりはなくて、両者が同じ画面にうつることはなかったのだけれども、ともかくも、倖田の歌の後に、中居の顔を見ながら倖田を評して「ほんまかわいかった」と言うつるべ。すごいね。メディアが強引に喧伝する「世間の関心」をすべて回収する鶴瓶。いや、そんな「関心」はどこにもないはずなのだけど、「触れてはいけないところに触れてる」っていうわくわく感。あらゆる垣根を越えて「世間の関心」を回収できてしまう「つるべ」というキャラクターの凄みを知る。
■ただ、その分なのか何なのか、今回は中居の力があまり垣間見えなかった気がする。両者のいつものコンビ芸というよりは、つるべのピン芸だった、という印象。いや、画面上では。
■と、このあたりでぼくの関心はダウンタウンの「ガキ使」に移り始め、ザッピングが激しくなった。だからあんまり見てないのだけど、この辺から鶴瓶が「いい人」モードになり始めたことははっきりと覚えている。片や、鶴瓶を「悪べぇ」と言ってはばからないダウンタウンなのだもの。
■エンディングの東京タワーが白くなるところは、素敵だったと思う。ベタだけどいい演出。


ともかく、「つるべの力」を思い知った昨年の紅白でした。というか2007年でした。
たぶん、来年もやるんじゃないか、鶴瓶