「つまらない人」のその先へ

最近の『いいとも』(金曜日)では、品川庄司の庄司が「つまらない人」キャラになってる。
つまりは、ふかわりょうとか出川哲郎とか山崎邦正とか上島竜兵とかみたいな、
「つまらないことがおもしろい」という具合に「おもしろい」が成立する人になっている。


バラエティ番組のクイズで、
お笑い芸人は往々にして大喜利のように「ボケ」なければいけないわけだけれども、
回答が「おもしろい人」(と思われている人)であれば自然に「おもしろい」が成立するところを、
内村プロデュース』のふかわのような「つまらない人」(と思われている人)は、
周りから無視されたり過度に期待されたり(いわゆる「ハードルを上げる」)することを通して、
「つまらないことがおもしろい」という具合に「おもしろく」なる。


だから、庄司もそういうふかわ的な扱い(「ハードルを上げる」)がされていて、
『いいとも』のクイズのコーナーで、
司会のさま〜ず・三村が庄司がフリップを出す前に「庄司は今日もおもしれぇんだろうな」とか何とか言い、
タモリが深長な顔で庄司の回答を待ち構え、
品川が掌を組んで神に祈り、
さま〜ず・大竹が事前に庄司の回答の一部をバラし、
庄司の母親からの電話がかかり、
観客が「がんばれー」とかエールを送り、
スタッフがスポットライトを当て、ドラムロールをかけ、
そういう風に会場全体の共同作業でいわゆる「ハードル」を上げに上げまくった後に、
庄司が答える。
で、沈黙がおとずれる。
そしたら庄司が「だから無理だって」とか何とかキレて、
それをスイッチにみんな「あはは」と大笑い。


こうして庄司は「つまらないことがおもしろい」を成立させる「つまらない人」になったのでした。


いや、庄司がずっと前から潜在的に「つまらない人」なのはみんなわかっていたはず。
にもかかわらず、なぜ今ごろになって、
典型的=戯画的な「つまらない人」の処理のされ方がされているのか、というと、
それはもう、
庄司のポジションはこれまで常に「筋肉」か「かっこいい」で、
こういうときに「おもしろいか否か」という問いを差し向けることはあらかじめ回避されてきたからだ。
だから、こういう大喜利的クイズの場面で、
「おもしろい人」でも「つまらない人」でもない庄司は往々にして「おもしろい」以前に「わけがわからない」。


だから、アルタ全体で庄司を「つまらない人」に仕立てあげることでもって、
「わけがわからない」ままずっと放置されてきた庄司は、「おもしろく」なった。
というか、「おもしろい」云々の前に、ようやく「理解できる」ようになった*1


だけれども、と思う。
庄司にはぜひ、ああいう場面で「大喜利」的な振る舞いをすることでもって「おもしろい」を成立させるのではない方向性に進んでほしい。って偉そうだなおい。


ともかく、
かつて「平成のパピプペポ」を視聴者に見せつけた庄司が目指すべきは、というか目指せるのは、
おそらく庄司自身の理想像である発想が「おもしろい人」ではなく(これは残念ながら無理だと思う)、
「つまらないことがおもしろい」ことを成立させる「つまらない人」でもなく(これは物足りない)、
久本雅美的な戦略ではないか。


久本もクイズで大喜利的なことをやらされると、回答そのものは「つまらない」。
「つまらない」というか、
書き言葉そのものを操るのがあまり上手くなさそうで、
言いたいことがわからなかったり、
いわゆる「空気を読めない」回答をすることさえあるような気がする。
この辺は庄司と非常に似ている。
だけれども、久本は「つまらない人」ではなく「おもしろい人」だ*2
なぜか。
それは、久本は回答のフリップを出すと、
何だかんだで話をつなぎながら最終的に「よろチクビ」って言うから。
フリップにどんな「つまらない」「わけのわからない」ことを書いていても、
マチャミは「よろチクビ」って言うことでもって画面上で「おもしろい」を成立させることができる*3


これはすごい戦略だと思うな。
何がすごいって、テレビの中での汎用性がすごい。端的に言えば、強い。
「よろチクビ」さえあればいつでもどこでも「おもしろい」を成り立たせることができるのだから。


結局テレビと一番親和性が高いのは、
製作者の側の念入りな準備と視聴者の側の高いリテラシーを必要とし、
他への代用がききづらい大喜利の回答の内容が「おもしろい」とか「つまらないことがおもしろい」より、
いつでもどこでも即物的におもしろい「よろチクビ」の方だったりするんだと思う。


「つまらない人」のその先へ。


庄司にはぜひ「よろチクビ」的なものを発揮することで、お茶の間に「おもしろい」を届けてほしい。

*1:北陽もこうやって『いいとも』の中で「おもしろく」なれるはずだった。にもかかわらず、北陽の2人は最後まで「わけがわからない」まま放置され、伊藤のグラビア写真だけを残してアルタを去ることとなる。

*2:いや、いろんな理由で「久本つまんねーよ」なのはわかるけれども、でも、視聴者の総意としては「マチャミおもしろ」だ。

*3:もちろん毎度毎度「よろチクビ」って言うわけはない。マチャミ的「おもしろ」の象徴としての「よろチクビ」。