2008年のテレビを宮崎美子を軸に振り返る

先日、NHKの『新春TV放談』で箭内道彦*1が最近のクイズ番組について、
「おバカも出てきたけど、かしこい人はもっとかしこくなってる。宮崎美子さんとか」
というような意味のことを言っていた。


2008年、クイズブームに乗ってやくみつると共に「はらたいら」ポジションについた宮崎美子*2
タイムショック』では出るたびに全問正解し、
Qさま』では高速で漢字を書き連ねていく。
「かしこい人はもっとかしこくなってる」と言ったとき、
箭内はもしかしたら昔のはらたいらのことを思い浮かべていたのかもしれない。
確かに、宮崎美子はらたいらを超えた、といってしまいたくなるくらい、
最近の宮崎美子のクイズ番組における正答率は、なんだかすごい。


ただ、はらと宮崎とでは、
出演しているクイズ番組の性質が違い、出題される問題の性質が違う。
かつて『クイズダービー』のレギュラーだった篠沢教授は、
クイズダービー』の問題を「上品」と呼び、
他の「百科事典を見ればすぐにわかるようなこと」を問う「下品」なクイズ番組と区別したらしい*3
そこでは、個別の知識をつなぎあわせて新たな知識を生み出すような問題と、
個別の知識を単純に問う問題が対比されている。
だから、なるほど確かに宮崎美子はらたいらは同じポジションにいるのだけれども、
どっちがより「かしこい」かは、ちょっと比べられない。競技が違うから。
でも、2008年的な知識偏重型のクイズ番組で、
宮崎美子が今のところ芸能界の「女王」であることは、確かだろう*4
そして、個別の知識をたんたんと答える宮崎美子は、
知識の応用力の巧みさなんてなくても、
その量的な迫力でもって、視聴者をひきつけるのだ。


さて、クイズ番組と共に2008年はやった番組に、ネタ番組がある。
宮崎美子の「かしこさ」は、そんなネタ番組で、より映えていたように思う。


『レッドカーペット』に出てる「レッドカーペット会員」(審査員じゃない)は、
ネタについてコメントを求められると、
「感動しました」
みたいなことを今田にすがるような微笑をたたえた表情で言ってしまって、
なんだかしらけた感想をお茶の間に(少なくともぼくのお茶の間に)届けてしまうものだけれども*5
そこのところ、宮崎は違う。
エド・はるみをみて「あんなきれいな方の人生になにがあったんだろう」と言い、
もう中学生をみて「元気で生きててくれたんだな」と評する。
その適切なキャラ把握と端的な言葉の選択は、
個々の芸人についてかれらのどこがおもしろいのかを、視聴者にわかりやすく伝えている。
だから、宮崎のコメントの後には瞬間的に笑える。そしてその後に、なるほど、と思う。


ショートな知識を問うクイズ番組と*6
ショートなネタを笑うネタ番組が「売れた」2008年のテレビにおいて、
宮崎美子はショートなものひとつひとつに確かな答えをあたえていた。
知識やネタが一瞬のうちに画面上を流れていったかのようにみえるなかで、
それもまたひとつの、2008年のテレビの景色。

*1:トップランナー』司会。

*2:女性だから、「竹下景子」ポジションと言ったほうがいいかもしれない。

*3:「百科事典を見ればすぐにわかるようなことを質問して、ポンとボタンを押させて早さを競って答えさせる普通のクイズは、もちろんクイズダービーの奇問に比べれば50倍も下品である」 参照:クイズダービー・データファイル

*4:ただし、宮崎美子もかつて『クイズダービー』に出ていて、結構な正答率をたたき出していたらしい。 参照:宮崎美子 - Wikipedia

*5:ただ、同じ「感動しました」でも前園のように真顔で言うと、それはまた、別の意味でおもしろい。

*6:あるいは知識がおバカ発言に向けたショートな前振りになっているクイズ番組と。