先週みたテレビ(12月15日~21日)

『バイキング』(12月18日)

 

 最近のバラエティ番組では「いくら稼いでるか」の話になることが少なくない。

 特に、若手の芸人とか、かつて人気だったタレントとか、蛭子能収とかの周辺で。

 

 で、近頃はスピリチュアルな人を2日に1回くらいのペースでみかける『バイキング』。

 そこで、ゲッターズ飯田が出演者の占いをした後に、自身の著書『金持ち風水』を宣伝していた。

 

 なるほど、スピリチュアルな人はお金の話と相性がいい。

 ただ、神の名をもつエビスな漫画家が自分の稼ぎの話をよくするのは、

 別にそういうことではない。

 

ビートたけしのTVタックル』(12月15日)

 

 バラエティ番組でのお金の話と言えば、

 1年くらい前の『ボクらの時代』でミッツ・マングローブが、

 「下ネタ駄目なのにお金の話はいいんだってさ。どっちが下品だって話」

 というようなことを話していたけれど*1

 先週15日の『ビートたけしのTVタックル』では同じくミッツが、

 「(昔は)下品のお手本がテレビのなかにあった」

 「それを私たちは憧れて、どんどん品格なんて落とそうっていう感じで育った」

 というようなことを話していて、

 確かに、下ネタとか暴力とか、

 そういうものは「青少年の健全育成」みたいな文脈で問題になるのに、

 露骨な稼ぎの話が別に問題にならないのはなぜなのだろうか、と思う。

 

 あるいは、先週21日の『今だから言えるナイショの話』は、

 矢口真里の本格的な地上波バラエティ復帰番組だったのだけれど、

 番組には板東英二とか、新垣隆とか、コダカラーことビッグダディこと林下清志とか、

 そういう矢口と同じく「お騒がせ」な人たちが何人か出ていた。

 

 で、そんな出演陣のなかで、子どもが多い人こと林下が、

 「ドンピシャで排卵日を狙ってます」とかそういう話を披露していて、

 この話それ自体がどうかなと思うのだけれど、

 それよりも、この話の前に番組側が、

 「日本では少子化が大きな問題に」とか「1家族あたりの子ども数は1.4人」とか、

 そういう情報をMCの矢口にしゃべらせて、

 あたかもこれから林下がする話に、

 何かしらの社会性というか公共性というかそういうものがあるというような、

 そういう文脈づくりをしてたのは、

 なんだか下品を上塗りしている感じがした。

 

『となりのシムラ』(12月16日)

 

 下品と言えば、

 全国の幼稚園や保育園や小学校で少なくない大人が眉をひそめているであろう流行語を、

 世に送り出したコンビであるところの日本エレキテル連合が、

 『紅白』にゲスト出演することが決定した。

 「ダメよダメダメ」という歌詞がある「年上の女」を歌う森進一の応援に駆けつける、とのこと*2

 

 思えば、本人たちいわく*3

 今年の6~7月ごろから民放各局にひっぱりだこだった日本エレキテル連合が、

 最初にNHKに出たのは11月15日の『ケータイ大喜利』だった。

 ただし、このときの2人はメイクと扮装をしておらず、中野と橋本としての出演だった。

 

 そして、日本エレキテル連合が私淑している志村けんのコント番組、

 『となりのシムラ』が先週16日にNHKで放送されて、

 このなかのコントに2人が出演した。

 ただし、声のみで。

 そして、「細貝さんと朱美ちゃん3号」ではなく、「細貝さんとイサク」として*4

 

 「おしゃべりワイフシリーズ未亡人朱美ちゃん3号」の出演に向けて、

 ひとつずつ段階を踏んでいる感じが、とてもNHKっぽくてステキだと思いました*5

 

 そして何より、

 演歌歌手がその1年でもっとも大切にするとも言われる『紅白』の舞台で歌う曲を、

 芸人のヒットギャグありきで決められてしまった森進一の胸のうちに、

 少し思いをはせました。少しだけ。

 

*1:『ボクらの時代』2013年12月29日

*2:ゲスト決定について|第65回NHK紅白歌合戦

*3:『しゃべくり007』2014年12月15日

*4:出演状況をもう少し詳しく説明すると、番組内のあるコントで、家族がテレビでお笑い番組らしきものをみているシーンがあって、ただし画面は映らず、音声のみだったのだけれど、そのテレビ内テレビのなかで、日本エレキテル連合の2人が「細貝さんとイサク」のコントを披露していた。

*5:去年ブレイクして年末の『紅白』にゲスト出演した壇蜜も、ぼくがみた限りでは最初にNHKに出演したのは、片岡愛之助がゲストだった『スタジオパークからこんにちは』(2013年9月27日放送)で、『半沢直樹』で共演した片岡についてVTRで語ったときだったと思う。ここでも片岡愛之助という仲介が必要だったりとかして、「段階」が踏まれていた感がある。