テレビ日記・追記(12月1~7日):若林とテロップ、上沼とサンタ、淳とヤラセ、さんまと脳、山田と山田

  日刊サイゾーで1週間のテレビを振り返る「テレビ日記」という連載を書かせてもらっているのだけれど、ときどき、分量的・文脈的に本文に収められなかった話題が出てくる。それをブログで記事にするという落穂拾い的なエントリー。題して「テレビ日記・追記」。

 

 今回は、『あちこちオードリー』で語られた若林の30歳代後半の葛藤と、『ゴッドタン』での宮下草薙のエピソードに関する記事から漏れた話あれこれ。

 

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オードリー・若林「それでもやっぱりK-PROにハマってない芸人っているんですよ」(『セブンルール』12月3日)

  3日の『セブンルール』でお笑いライブ・イベント制作会社、K-PRO代表の児島気奈が密着されていた。触れるべきお笑いのコンテンツが多すぎるからと、イヤホンの片方から漫才を、もう片方から芸人のラジオを流して何やら作業をしている姿には、さすがにちょっと驚いた。

 で、児島を追ったVTRには、あまり世間に名前が知られていない芸人たちも含め、彼女を知るたくさんの芸人たちの顔と名前が出てきたのだけれど、これは「お笑いと食事だったら、お笑いのほうが大事です」と言い切る彼女にとって、とても嬉しいことなのだろうなと思った。むしろこれを条件に密着を受けたのではないかとかも想像した。

 なお、若林が、芸人をあまねくプッシュするそんなK-PROにもビックスモールンはハマっていないと話していたのだけれど、だからだろうか、そのとき画面に出てきたテロップは、ビックスモールンではなくビッスモールンでした。

 

上沼恵美子「私、サンタクロースが好きなんですよ」(『うたコン』12月3日)

  NHK総合の『うたコン』に上沼恵美子が出演していた。初登場だったらしい。そんな感じがまったくしないのは、同じ時間帯で同じような番組内容の『わが心の大阪メロディー』に毎年出演しているからだろうか。

 さて、この日の同番組はクリスマスソング特集だったのだけれど、番組冒頭で司会に話を振られた上沼は次のように語った。

「私、サンタクロースが好きなんですよ。おじいさんが大好きでね、サンタクロースの。穏やかで平和で優しくて、ものすごく大好き。家に80体ぐらいあるんですけどね。道でもね、サンタクロースに似たおじいさんを見かけると、追いかけて捕まえるんです」

 さすがである、と僕なんぞが口にするのもはばかられるような語りの技巧である。短い時間にフリとオチ、起承転結が無駄なく詰め込まれたそれは、なんだか小さな箱の表面に幾何学模様のパーツがピッチリと敷き詰められた工芸品のようだ。椎名林檎の曲間のないアルバムのようだ。あるいは、140字の制約内に収められたネタツイートのようだ。

 

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小澤アナ「では本日の素敵なコメンテーターをご紹介いたします。まずは、お笑い芸人で元ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんです」(『脱力タイムズ』12月6日)

 アンタッチャブルの漫才披露があった翌週の『脱力タイムズ』は、ロンブー・淳を迎えて放送された。コンビの活動再始動があった翌週に、活動休止中の淳を呼ぶのは意図的なのだろうかどうなのだろうか。

 それはともかく、大きな話題を呼んだ先週とは打って変わって、先週の『脱力タイムズ』は通常通りに放送された。この番組の「通常通り」がなんなのかと問われると、ちょっと困惑するけれど。

 出演者は基本的に台本通りに役回りを演じる。台本を唯一渡されていないツッコミ役の芸人がそこに放り込まれる。出演者やスタッフが仕掛けてくるネタ、要は「ヤラセ」に、芸人はツッコミを入れまくる。たとえば淳は番組冒頭で「元ロンドンブーツ1号2号の……」と紹介されると、「今も今も今も」と即座にツッコんだ。

 そんな『脱力タイムズ』は、ヤラセにツッコミを入れながらテレビを楽しく視聴する、そんな態度と技術を一流の講師をお招きして学ぶ教養番組なのかもしれない。放送大学なのかもしれない。いや、もちろん主として報道番組だけど。

 

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大竹しのぶ「ほらね、こういうとこで『俺今すごいいいこと言った』っていうのがわかるのが、私」(『誰も知らない明石家さんま』12月1日)

 1日に放送された『誰も知らない明石家さんま』で、さんまの脳をCTスキャンで撮って分析するみたいなコーナーがあった。脳内科医という肩書きの白衣を着た人が、「さんまさんが一番すごいのは目なんです」「的確に人を見たりとか、空気を読んだりとか、その能力が卓越してるんです」みたいなことを言っていた。脳の形を見るらしい。

 いや、難しいことは私にはよくわからないのですが((C)林家こん平)、手相占いを連想してしまった。あまり意外なことを言わない、というのが科学を装うコツなのだろうか。島田秀平のほうがまだ誠実に見えてくるから不思議だ。

 同番組では、明石家さんま大竹しのぶが寿司屋のカウンターに並んで語り合うというコーナーがあった。

 そこで、宮迫の件がやっと片付いた…と嘆息するさんまに、大竹はすかさず「なんかそう言いながらも、大変なときに『はぁ~』とかって言って、『それでもやってる俺って素敵』って思ってる」とツッコんでいた。

 あるいは、「(大竹とは元夫婦だけど)IMALUと二千翔の父っていうことやと思う。今もね。これは元つかないねん」と語るさんまに、「ほらね、こういうとこで『俺、今すごいいいこと言った』っていうのがわかるのが、私」とコメントしていた。

 相変わらず、この2人の息のあったやり取りは美しい。そして、明石家さんまの名解説者としての大竹しのぶ。少なくとも脳を見るよりさんまのことがわかった。

 

山田隆夫「師走ですねぇ」(『笑点』12月1日)

 2019年12月最初の『笑点』での山田隆夫のあいさつは、「師走ですねぇ」から始まり、次のように続いた。「えー、みんなで手を叩いて、歌いましょう。ねぇ。そーれ、♪しわすなら手を叩こう。しわすなら手を叩こう。しわすなら態度で示そうよ、ほらみんなで手を叩こう。山田隆夫でしたー」でした。

 ちなみに、2016年12月最初の『笑点』での山田隆夫のあいさつは、「師走…ボクはこの時期、いつもなぜか、加山雄三さんを思い出すんですねぇ。シアワスだなぁ、僕は君といるときが、一番シアワスなんだ。バンザーイ! 山田隆夫でーす」でした。

 以上です。

 

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