『バイキング』(3月17日)
永島アナ「さて冒頭でもお伝えしましたが、TAKAHIROさんは本業のアーティスト活動に加え、また俳優業もお忙しくなるということで、今日が『バイキング』最後の日となります。1年間本当にお疲れさまでした」/『バイキング』3/17
— 飲用 (@inyou_te) 2015, 3月 17
『バイキング』の放送が始まって約1年。
4月からの新体制への移行をひかえ、何人かの出演者が「卒業」を迎えた。
そのひとりが、火曜日のMCを隔週で務めていたEXILEのTAKAHIRO。
思い起こせば、彼は去年4月1日の『バイキング』初回のMCでもあった。
初回のオープニングを改めて振り返ってみよう。
テロップ&ナレ「1982年10月4日。この日、のちに国民的人気番組となる『笑っていいとも!』がはじまった。あの頃、テレビの向こうは夢の世界だった。でも、少年たちはいつしか同じ世界に飛び込み、それぞれの道を歩み、多くの経験を積んだ。そして今日、舞台は新宿アルタからお台場へ。『いいとも』の精神を受け継いで、新たなる船出。その記念すべき初航海。船長は…」
では、船長最後の出航となった先週17日の放送のエンディング、
『いいとも』の精神を受け継いだ船長は何を語ったのか。
TAKAHIRO「この1年通していろいろな経験をさせていただきましたし、『バイキング』始まりがボクだったので、あの、本当にいろいろな経験させてもらって、これからにつなげていきたいなって思ってます」*2
さて、この言葉を聞いて、もしかすると人は次のように思うかもしれない。
もう少し気の利いた言葉が事前に用意できたのではないか。
これではまるで、インターンシップの学生の最後のあいさつみたいではないか。
『いいとも』の精神を受け継いだ船長としていかがなものか、と。
だがしかし、当の『いいとも』ラストはどんなものだったか。
いつものように、特に感慨を込めることもなく素っ気なく、
タモリは「明日もまたみてくれるかな?」と言ったのだ。
そこには、その日のために用意された言葉などなかったのだ。
表面上の言葉の貧困さなど、数多あるノイズに惑わされてはいけない。
そこには確かに『いいとも』の精神の継承をうかがうことができるのだ。
とかなんとか。
『してみるテレビ! 教訓のススメ』(3月20日)
坂上「オレはどうしたらいいのかわかんないんっすよ」 浜田「いまの坂上忍がオマエが思ってる坂上忍なのか、っていうだけのことやわな。いままでの坂上忍がホンマのオマエなのか。責任もたされて番組いっぱいもってる坂上忍がホンマのオマエなのか」/『教訓のススメ』3/20
— 飲用 (@inyou_te) 2015, 3月 21
と、継承がどうのこうのいう話は忘れていただくとして、
『バイキング』はレギュラー陣の入れ替わりも含めて4月から新体制に移行するらしい。
おそらく一番の眼目は、
各曜日のMCとは別に坂上忍がバイキングMCとして全曜日に出演することだろう*4。
で、先週20日の『してみるテレビ! 教訓のススメ』。
ダウンタウンの2人と坂上忍が昼間の立ち飲み屋をめぐる、みたいなロケで、
松本人志が「坂上さんはコンビニを全うしていったらいい」というようなことを言っていた。
松本いわく、最近のテレビは、
特定のテーマ(たとえば「お笑い」)を突き詰めた「専門店」と、
さまざまな情報がいつでもどこでも同じように用意されている「コンビニ」に二極化している。
そして、いまテレビで求められているのは「専門店」ではなく「コンビニ」の方だ。
でもダウンタウンはもはや「専門店」から降りられない。
だから「コンビニ」の方面は、マツコ・デラックスや坂上忍がやり遂げればよい*5。
さて、ここで松本に「コンビニ」として指名された坂上忍。
去年の4月には、予定調和の撹乱を周囲から期待されている状況を受けて、
「下手したらテレビ出れなくなんのかな、みたいなのはどっかにあったりしますよ」*6
と言ってたりもした。
だけれどその1年後、テレビに出れなくなるどころか、より広くテレビに露出するに到っている。
松本のたとえに乗るならば、坂上は「コンビニ」としての役割を本当に全うしていくのかもしれない。
「コンビニ」のアルバイトから店長に昇格したのかもしれない。
実際のコンビニでそういう昇格はあり得ないのだろうけれど。
そして、実際のコンビニの店長は雇われ店長と呼ばれたりもするけれど。
『旅ずきんちゃん~全日本のほほ~ん女子会~』(3月22日)
矢口「私でもホントいま、世の中全員から嫌われてると思ってるんですよ」/『旅ずきんちゃん』3/22
— 飲用 (@inyou_te) 2015, 3月 22
話は変わって、謹慎を終えてテレビに復帰した矢口真里。
先週22日の『旅ずきんちゃん』では、
大久保佳代子と益若つばさと一緒に広島県の三次市を訪れていた。
で、復帰後初ロケだったらしい矢口を中心に構成されたこの日の番組。
今なら矢口さんがどんな質問にも答えてくれますから、何でも聞いてください、
というような感じで、ロケ中に出会ったまちの人たちから質問を募っていた。
それはつまり、情報番組とか週刊誌とかで話題になった、
でも実際のところどうだったのかよくわからないところも多い、
矢口の「あのこと」に関する質問を暗黙の了解として募っていた、ということだけれど。
みんなホントは「あのこと」が聞きたいんでしょ?
大久保や益若が番組のなかでとっていたスタンスはそういうものだった。
そうやって終始、一般の人たちの「ホンネ」を引き出そうとしていた。
実際、まちの人たちの多くは「あのこと」に関して矢口に質問していた。
だけれど、そんな番組の最後。
あるカフェの女性の若い店員さんは、
ひとしきり悩んだ後、矢口に次のように問う。
「好きな動物は?」*7
なるほど、大切なのは答えではない、問いである。
答えが人を既知の世界に閉じ込めるのに対して、問いは世界の新たな開かれを用意する。
「好きな動物は?」という問いは何を明らかにするのか。
それはもちろん、矢口が犬好きだということではない。
問いが露わにするのは、「あのこと」のどうでもよさだろう。
もっと言えば、カメラの前で「あのこと」を聞くという態度は、
「ホンネ」というよりはむしろテレビ的な「タテマエ」なのだということだろう。
※下の写真は藤井隆のホットホットをやる矢口真里*8をみる吉本新喜劇の重鎮、桑原和男です。
で、改めて坂上忍。「ホンネ」語りがウケているようにもみえる坂上は、
以前、自身のスタンスを次のように語っていた。
「ボクはもう40過ぎたときに正直でいようと思っただけです」*10
4月からますます活躍することになる船長かつ店長であるところの坂上。
その「正直」は、テレビを開くのか、それとも閉じるのか。
とかなんとか。