テレビ日記・追記(11月3日~9日):寺田心の年齢、松村邦洋の計算、ケンコバと嘘、マツコと傘、鶴太郎とウイルス

  日刊サイゾーで1週間のテレビを振り返る「テレビ日記」という連載を書かせてもらっているのだけれど、ときどき、分量的・文脈的に本文に収められなかった話題が出てくる。それをブログで記事にするという落穂拾い的なエントリー。題して「テレビ日記・追記」。

 

 今回は、『ミュージックステーション』で風間俊介タモリ小沢健二に寄せた言葉をめぐる記事から漏れた話あれこれ。

 

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寺田心「家族を大事にしてくれる方だったらうれしいなって思います」(『徹子の部屋』2019年11月4日)

 同じ言葉でも誰が言うかによってニュアンスが変わる。たとえば、「東京ディズニーランドが大好きです」を風間俊介が言うのと木下優樹菜が言うのとでは意味合いが違うように(2019年11月現在)。

 だから、好きな女性のタイプを聞かれて「家族を大事にしてくれる方だったらうれしい」と答えるのが佐藤健ではなく、「やっぱり認知症って他人事じゃないと思う」と語るのが阿川佐和子ではなく、ミントとチョコレートの入ったジェラートを黒柳がイタリアで食べたと聞いて「おー、おしゃれですねぇ」と反応するのが松重豊ではなく、まだ小学生の寺田心だったときには、それはやっぱり意外に思う。

 ここはベタに彼の年齢詐称を疑ってみよう。「好きな女の子のタイプは?」と黒柳に聞かれたときの第一声が「おろ?」だったことから鑑みるに寺田心は少なくとも30代、『るろうに剣心』世代のはずだ。

 

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松村邦洋江戸幕府が終わります」(『27時間テレビ』2019年11月3日)

 松村いわく、元プロ野球選手で今は解説者を務めていたりする川藤幸三は、現役時代に211本のヒットを打った。しかしこれ、イチローなら1シーズンの途中で達成する本数だ。で、もしイチローの日米通算の安打数を川藤が打とうとしたら、江戸幕府が終わってしまうのだという。

 東京ドーム何個分とか光の速さで何年とか言われてもそのスケールがあまりイメージできないわけだけれど、江戸幕府の長さに換算した松村の計算は、なんだか川藤のヒット数の少なさが如実に伝わってくるから不思議だ。分母においた江戸幕府というワードが松村の歴史好きのキャラクターとマッチしているからかもしれない。

 しかし、この計算はどこまで正確か。試合数とか打席数とか考えると面倒なので、ここではシンプルに年間の平均安打数で考えてみよう。川藤の1年あたりの平均安打数は11.7本(211本÷18年)だから、イチローの日米通算安打数4367本を打つためには約373年かかる。この計算条件だと、江戸幕府どころか、さらに高度経済成長が終わる。

 

ケンドーコバヤシ「全部フィクションやったほうが救われる気がする」(『ノンフェイクション』2019年11月3日、テレビ大阪

 テレビ東京では10月末に2週にわけて放送されていたらしいが、テレビ大阪では11月3日にまとめて放送されていた番組『ノンフェイクション』。3本ほどVTRが放送されて、それはたとえば3人の男性地下アイドルの密着映像だったりするのだけれど、しかし、そのうちノンフィクションは2本で、1本はフェイク(役者が演じたフィクション)。さて、フェイクはどれでしょう、というような番組だ。「ノンフィクション」と「フェイク」を掛け合わせて「ノンフェイクション」である。

 で、番組の表向きの趣旨は「どれがフェイクか」を当てることであって、出演者の市川紗椰ケンドーコバヤシがそれぞれ予想する時間もあるのだけれど、でも、実際のところ3本が3本ともなかなかのエグみのある人生を追った映像のため、市川いわく「壮絶すぎて、全部ニセモノなのかなって思いたくなる」、ケンコバいわく「全部フィクションやったほうが救われる気がする」。同じような感想を僕も抱いた。

 最初はフェイクを見つけようとしていた視線が、この中に本物があるのだという事実のほうに向き始める。嘘の軽さを見透かそうとするのではなく、事実の重さに向き合い始める。番組をみながら自分の中でいつの間にか進行していたその反転に気づいたとき、なんだか得難いテレビの視聴体験をした気分になった。

 

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マツコ・デラックス人間性を保つためですよ」(『月曜から夜ふかし』2019年11月4日)

 本人が語るところによると、マツコは傘をささないらしい。なぜなら、さしたところで、あの体型はカバーできず雨に濡れてしまうから。それを聞いた村上信五が問う。家には傘は所有されてないんですか? それに対するマツコの返答は次のとおりだ。「あります。それはもうだから、人間性を保つためですよ。人として家に傘がないとダメですから」。

 雨を避けるためではなく、人間性を保つためのアイテムとしての傘。なるほど、出先で毎回ビニール傘を買って家に傘がたくさん溜まっている人は人間くさい感じがする。いつも出先に傘を忘れてしまう人は影が薄そうだ。そして、コンビニの傘立てから人の傘を勝手に盗んでいく人は人間としてもう――。 

 

片岡鶴太郎「ただね、ヨガやってたからね、インフルエンザが入る瞬間がわかった」(『お願い!ランキング』2019年11月6日、爆笑問題太田光の言)

 片岡鶴太郎がインフルエンザにかかった。これを知った爆笑問題の太田が「ヨガの意味、なんもないじゃないですか」と本人に直接ツッコむと、片岡はインフルエンザを患ったことは認めつつ、上のように答えたという。

 ウイルスに罹患するのは生物として自然なことであり、ヨガはその生物としてのあり方に強引に逆らうものではないのだろうから(たぶん)、別にインフルエンザにかかったからといってヨガの意味がないとは思わない。

 けれど、出かける9時間前に起床し、5時間かけてヨガをし、2時間かけて朝食をとり、という生活を1日も休まず何年も続けてきた成果が「インフルエンザが入る瞬間がわかる」という特に使いようのない能力だというのは、この話を聞いた神田松之丞も言っていたけれど「さすが鶴ちゃん!」と感服せざるを得ない。

 いや、ホントにその瞬間がわかったのだとしたら、それはそれですごいことだ。人類の進化だ。片岡にはもっとヨガを極めて、次はニュートリノが体を通り抜ける瞬間とかわかってほしい。スーパーカタオカンデになってほしい。

 

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