2023年5月にみたテレビ

2023年5月はいつもの月より本当にテレビがみられなかったのですが、それでも結構みました。で、おもしろかった番組については日刊サイゾーの連載で書いたりしているのですが、触れられなかったものも多いので、これはそういった番組のなかからいくつかについて短めに触れる記事です。先月みたテレビの落穂拾いです。

 

『小峠地蔵旅』5/1

バイきんぐ・小峠がお地蔵さんになってお供物をくれた人に恩返しをする番組。出会った人とのふれあいみたいなのももちろんいいわけだけど、もう、小峠が全身灰色の地蔵の格好で鎮座したり動いたりする画面だけでおもしろい。ビジュアルももちろん地蔵っぽい。けれど何より、小峠が帯びる無機質さと温かみの併存みたいなのが地蔵に重なる。

 

スタッフ「深夜に2回放送したじゃないですか。評判がよくてですね」

小峠「ウソつけよ」

スタッフ「1回目の放送してるオンエアの途中で編成部長から電話が来て、これゴールデンでやれって」

小峠「テレ東ぶっ壊れてるじゃねぇかよ」

スタッフ「その編成部長、この4月で違う部署に異動させられました」

小峠「(笑)」

 

『激レアさんを連れてきた。』5/1

10年間誰かに言うこともなく人知れずこの世に存在しない架空の駅を1万個以上考えている人。激レアさんがつくる架空の街や駅や路線の設定に、ガンガン乗っていく若林、だんだん乗せられていく3時のヒロイン・福田、乗りたいけど乗れない最後まで結局乗れないNEWS・増田の関係がおもしろかった。

 

『アナテレビ』5/3

民法キー局とNHKのアナウンサーがそろいぶみ。アナウンサーについて語る。画を言葉にする。そのさまが画として視聴者に届く。テレビのアナウンサーは不思議なことをやっているのだなと改めて思う。

 

水曜日のダウンタウン』5/3

クールポコ。の背後に幽霊がいたら「なぁ~に~?」のところでネタ中止説。「なぁ~に~?」で小野まじめが後ろを向いたときの顔が実はおもしろい、みたいなことはときどき言われていて、そこがピックアップされたときの準備した「なぁ~に~?」は見たことはあるけれど、ネタ中の無防備でリアルな「なぁ~に~?」はなにげに初めて見たかもしれない。

 

『あのちゃんの電電電波』5/4

あのと猫のササキという人形(声:粗品)の音楽トーク番組。この日のゲストは鈴木愛理。その鈴木が帰ったあとの、あのと粗品の会話。

 

あの「正直(鈴木さんは)すごく考え方が好きな考え方で、共感いっぱいした」

ササキ(粗品)「やっぱり考え方似てる人のほうが好きなる?」

あの「うん。だから好きになった、鈴木愛理さん」

ササキ「じゃあ、ご飯とかも行くかもしれない? 2人で」

あの「わか……それはわからない」

ササキ「結構心開いてるね」

 

あのが「わか……」と速攻で否定しそうになるも少し言い淀んで「それはわからない」と言い直したのを聞いて、すぐに「結構心開いてるね」と指摘する粗品。あのと粗品のコンビはよい(YouTube版『あのちゃんねる』の一緒に競馬をする動画もよかった)。粗品はツッコミながらあのの言葉の解読書を書いている感じがするし、あのは粗品の”温かみ”というとなんだか違う気もするけれど他ではあまり見ない一面を引き出す触媒になっているような感じがする。

 

『有吉ぃぃeeeee!』5/7

動物園のペンギンの池の前で。

 

有吉弘行「あら、怖くて近づけないですねえ」

トシ「かわいいでしょ別に」

ウエストランド・井口「ちゃんと距離とって見とかないと」

有吉「絶対ペンギンに失礼がないように」

 

もう今となっては誰も春日とペンギンの話のことなんかしていない。そもそも最初からそんなに話題になってもいなかったのだろう。「話題になっている」が話題になっていただけで。

 

『爆問×伯山の刺さルール』5/9

1974年、1983年、1987年のテレビ覧を見ながらトークする企画。とにかく爆笑問題の2人が昔の番組の細部をよく覚えている。太田が船場吉兆のことをいつまでも言うのも仕方がない。

 

『ゴッドタン』5/13

第4回・気づいちゃった発表会。吉住の言葉が印象的だった。

 

「雑誌のインタビューとかで、『誰々さんとの話ありますか?』とか聞かれたときに、『賞レースの予選のブロックが同じだったから、何々さんとしゃべりました』みたいなこと言ったら、『おふたりで支え合って決勝まで行けたんですね』みたいな。1言ったら10ぐらいに脚色されて、雑誌に書かれるんですよ。ラジオはそんな指示されないじゃないですか。第三者が入ってこないんですよ」「私だと、ヒコロヒーさんとツーマンのライブをしたっていう事実を言ったときに、『女性2人で各々戦いながら、別々の道で売れたんですね』みたいな」「何回か取材していただいて気づいたのが、世の中のライターさんって、情緒不安定な方が多いなって」

 

「『若手芸人が○○してみました』とか、『若手芸人が○○調べて見ました』みたいな、結構番組があったりすると思うんですけど、昨今、働き方改革によってADさんがあんまり残業できなくなってるんですよ。っていうことは、本来ならテレビマンがやるべき下調べみたいなことを、賃金が安い若手芸人がさせられてるんですよ。で、結構平気で時間もめちゃめちゃおさえられて。若手はバイトもできないんですよ。でも、ギャラがめちゃめちゃ安いんですね。ちょっと正直これは視聴者の方にお伝えしたいんですけど、若手芸人を救えるのはあなたたちだけです。よろしくお願いします」「売れてない芸人だと、あんまりテレビ出たことない子だと、もしかしてこの番組で売れれるんじゃないかって、希望をもって一生懸命がんばるんですよ。でも、そういう番組に限って若手を雑に扱ってるんだから、上手に映すことができないんですよ」「めちゃくちゃ悔しい。馬鹿にしすぎ。だからテレビ嫌いなんだよって思っちゃいました」

 

出川哲朗の充電させてもらえませんか?』5/13

ゲストはあの。電動バイクで走行中に子どもたちが草野球をしているのを見つけた出川とあのが飛び入り参加をするシーンがあった。バッターボックスに立ったあの。野球のルールをまったく知らないという彼女は、打っても1塁に走らず突っ立ったまま。それを見た出川が「走るんだよ」と教える。で、教わったあのは今度は打ったらピッチャーに向かって一直線に走る。4コマ漫画みたいで笑った。

 

『マルコポロリ!』5/14 『スーパー山添大作戦』5/15

14日の『マルコポロリ』で「怒れ!ライス関町!くすぶるおじさん芸人魂の叫び」、15日の『スーパー山添大作戦』で「騙されるな!ライス関町は極悪人」と、大阪と東京で連日ライス・関町がピックアップされていた。しかも、一方は「どんなことでも怒らない温厚な関町」、もう一方は「実は性格が悪い関町」と真逆な感じで。なお、16日の『刺さルール』(ダイアン・津田が特集された回)にも津田の後輩としてVTRでちょっとだけ関町が出ていた。3連関町。

 

『あちこちオードリー』5/17

狩野英孝がゲスト。

 

バカリズムさんとかが小説書いたりとか、カッコいいなぁって思うじゃないですか。書いてみようって、何か月もかけて書くんですよ。結構な量になって、マネージャーに『これどっか出してくれる出版社探して』って渡すんですよ。それを、マネージャーが『ロンドンハーツ』に持っていくんです」

 

短くてきれいなトーク。狩野は昔は「トークには自信があるけど途中で周囲から邪魔(ツッコミ)が入るからオチまでたどり着けない」みたいな話をしていたように思う。途中でツッコミが入ったりするのは言葉選びがちょっと不思議だったりするからだと思うけれど、なんだか最近は上に引用したみたいな短くてきれいなトークも増えてきているような気もする。

 

『迷宮グルメ異郷の駅前食堂』5/16

『あちこちオードリー』で話題に出ていたスギちゃんの旅番組。スリランカ編。ヒロシがやっていたときはときどきみていたのだけれど、旅人がスギちゃんに変わってからは初めてみたかもしれない。言葉がわからないから単語を連ねるような英語とジェスチャーでやりとり。番組を見ている側は翻訳が入るから現地の人が何を話しているかわかるし、スギちゃんと現地の人の話がまったく噛み合ってないことがわかる。でも、なんだか意気投合してる感じもあって、話はどんどん前に進んでる。話が噛み合うこととコミュニケーションがとれることは違う。そんな感じがおもしろかった。

 

ワイドナショー』5/21

この日、ジャニー喜多川性的虐待とそれをめぐるジャニーズの対応を取り上げていた。で、東野幸治が以下のようにコメントしていた。ワイドショーをあまりみないから網羅的に見聞きしているわけではもちろんないけれど、テレビに出ている芸能人がこの問題にこういう角度で「反省」のコメントをするのを私はほかに聞いたことがない。

 

「僕は週刊文春がキャンペーンしてたとき、99年ですか、読んでたんですよ。訴えたっていうのも知ってて。判決が出て、言うたら、認められたっていうか、性犯罪というかセクハラ的な要素を裁判所が認めたっていうのをわかってる、わかってる段階で、そのあとジャニーズさんのタレントさんのみなさんとバラエティで共演するじゃないですか。いまから15年ぐらい前からだんだんと、ジャニーさんのおもしろエピソードをみなさんテレビでしゃべってる、現場も盛り上がる、僕も司会の立場で話振る。で、ユーはどうだよこうだよみたいなおもしろ話になってるけど、頭の片隅のほうではそれ知ってるっていう。知ってるけど僕何か言うわけでもないし、なんとなくその場が盛り上がったらいいかなって思ってやってたっていうのは、反省しなきゃいけないところというか」

 

『ラヴィット』5/22

3文字禁止しりとりをするコーナーでのひとコマ。

 

ぼる塾・はるか「リンボーダンス」

すゑひろがりず・南條「寿司」

あんり「しりとり」

三島「リンボーダンス」

田辺「酢の物」

和田まんじゅう「野糞」

 

ひどい。笑った。

 

『有吉クイズ』5/23

有吉と蛭子さん2023春。有吉弘行蛭子能収が即興で絵を描く。認知症になってから少し画風が変わっていたように見えていた蛭子が、現代アートに触れて有吉と絵を描くうちにかつてのタッチに戻ってくる感じがなんだかよかった。あと、その絵を見たアートの専門家が、1人は手放しの高評価で、もう1人は「これを高評価するのはどうかしている」と真逆の評価を下すのがリアルでよかった。

 

『モニタリング』5/25

『あちこちオードリー』で「体を張りたい」といって周囲に止められていた竹内由恵が間違えたら泥だらけになるクイズに挑戦していたので思わず見てしまった。「思わず見てしまった」以上の感想は特にない。

 

『おかべろ』5/27

伊集院光がゲスト。ラジオの話に。

 

「なんかね、分岐点みたいなのがあって。毎日ラジオやってて全然しゃべることがなくて、だけどある日、『今日しゃべることがなくてさ、なんかないかなと思って散歩に行って、もしここにミートボールでも落ちてれば、なんで落ちてるんだろうってしゃべることになるんだけど、ミートボールも落ちてないんだよ』って話を1時間できたのね。そこそこウケながら。そのときに何か、俺は食っていけると思った。すごいその回、自信になった」

 

偽のオペラ歌手としてメディアに登場した伊集院は、無いものを「ある」と言って出てきた。先日(6/21)の『水曜日のダウンタウン』のウソの昭和エピソードを口先だけで言いくるめてZ世代に信じさせるみたいな説での活躍も、無いものを「ある」と言い張る話術だった。伊集院にとって、無いものを「ある」と言っておもしろく転がすのはお手の物だったりするのだろう。そう考えると、ミートボールが道に落ちてなかったという話で1時間おもしろくしたというのは、無いものを「無い」と言い張る点でちょっと話の転がし方が違う気もするし、なるほどそれが自信になったというのは勝手に納得したりもする。

 

連載で触れた番組

「あの」とにかく明るい安村がイギリスで大ブレイク…に見る新しさ|日刊サイゾー

・『私のバカせまい史』5/4

・『ラヴィット!』5/2 とにかく明るい安村

 

シソンヌ長谷川が「気づけばテレビによく出ている」理由|日刊サイゾー

・『さんまのお笑い向上委員会』5/13 シソンヌ・長谷川

・『あちこちオードリー』5/10 シソンヌ・長谷川

 

松本人志「誰も損しない大会だった」──『THE SECOND』の“楽しさ”と東野幸治の司会術|日刊サイゾー

・『THE SECOND』5/21 松本人志東野幸治

 

井森美幸、浜口京子を通して見るバラエティ考|日刊サイゾー

・『あちこちオードリー』5/24 エルフ・荒川

・『アメトーーク!』5/25 井森美幸

・『キョコロヒー』5/22 浜口京子