先週みたテレビ(11月24日~30日)
『インタビュー ここから』(11月24日)
ナレ「落語家、月亭方正さん。落語家として歩み始めて6年になります。以前は東京でお笑いタレントとして活躍していました。滑稽さや痛々しさなど独特のパフォーマンスでバラエティ番組の人気者でした。しかしテレビでみせる破天荒な笑いの一方で、方正さんは自分の芸に迷っていました」/『ここから』
— 飲用 (@inyou_te) November 24, 2014
祝日の朝にだけ放送される『インタビュー ここから』という番組*1がNHKにある。
タイトル通り、有名人へのインタビューをお送りする番組。
先週24日(勤労感謝の日の振替休日)の放送では、山崎邦正改め月亭方正がインタビューに答え、
落語家になることを決めた経緯やその決意を語っていた。
で、上に引いたのはその番組冒頭のナレーションなのだけれど、
「滑稽さや痛々しさなど独特のパフォーマンスでバラエティ番組の人気者」
と方正を紹介して始まった同番組は、
落語家としての決意を語る方正を終始「マジメ」なスタンスから切り取っていて、
なんだか『ガキ使』の企画のようだった。
少し前の『ガキ使』で方正の24時間インタビュー企画があったけど、
ちょっとそれが重なってみえた。
NHKの「マジメ」なスタンスを「おもしろい」に変換するという見方は、
ある程度テレビのこちら側で共有されているのだろうと思う。
というか、画面のこちら側の「マジメ→おもしろい」の解釈を前提としつつ、
最近のはに丸の使い方とか*2、
NHKの画面の向こう側には既に「マジメ」を「おもしろい」に錬金するサイクルが組み込まれていて、
時にぐるぐると回っている。
今回の『インタビュー ここから』でも、
NHKのそんな錬金機関がささやかながら回っているようだった。
そしてその回転運動は、
この番組に限らず月亭方正が映るいろいろな画面の後ろで回っているものと、
なんだか連動しているようにもみえた。
『SWITCHインタビュー 達人達』(11月29日)
林檎「急にあるときこの商売をやりませんかって話をもらったから、いろんな資料をごまんと渡されて聞かされて、『こういった類のものを混ぜあわせてつくってください』って大人の人に言われて、高校生のときに。それから始めたから」/『SWITCHインタビュー』
錬金といえば、中世ヨーロッパで盛んに模索されていた技術だけれど、
でも実際のところ、
金は星がその一生を終えるときに起こる超新星爆発の際にできるものだから、
地球上で合成されることはあり得ない。
だから、地球上に金があるということは、
かつて存在した星の残骸でこの地球ができていることを意味している。
というようなことを、
惑星探査機・はやぶさのミッションに関わった先生*6が『ワイドナショー』で言っていた。
いわく、「残念ながら我々はオリジナルではない」*7。
で、上に引いたように、
椎名林檎が29日の『SWITCHインタビュー 達人達』で、
市場に出回る自身の曲は、
「こういった類のものを混ぜあわせてつくってください」
というオーダーに応えてつくり始めたものだった、と、
そのオリジナリティを否定するようなことを語っていた。
自分は「J-POP職人」であって、自分の好きな音楽と作品とは乖離している、と。
そもそも歌が入っているものは、「ポップ」ではあるけれど「広告」だ、と*8。
だけれど、オリジナルであることを問うことが、
地球レベルでナンセンスであるとするならば、
いわんや人間の文化をや。
はやぶさの先生から地球生誕の話を聞いた『ワイドナショー』の武田鉄矢が、
「オレたちはリサイクルされてんだよ」と、
人から聞いた言葉を自分の「名言」に変換していつものように語っていたけれど、
なるほどオリジナルにみえるあれこれの後ろには、
何重もの(リ)サイクルが時にぐるぐると回っている。
*1:少し前までは『ホリデーインタビュー』という名前だった。ホリデーインタビュー - Wikipedia
*5:歩きスマホを危惧するはに丸。『はに丸ジャーナル』2014年8月13日